確定申告のついでに、住民税を計算すると分かること
住民税の額は、6月頃に通知書が届きます。
今丁度確定申告時期なので、確定申告の課税所得を基に来年度の住民税を計算してみました。
行政から通知書が来るより先に分かっていれば、予算も立てやすいですよね。
計算は簡単です。住んでいる大阪市の場合を例に計算してみます。
【市民税・府民税】=【均等割額】+【所得割額】です。
均等割額は、5,300円(市民税3,500円・府民税1,800円)と決まっています。
後は、所得割額を計算すればOKです。
所得割額は、以下の計算式で算出します。
【所得割額】=【課税所得額】×【税率(市民税8%・府民税2%)】−(調整控除額+配当控除額+住宅ローン控除額+寄附金税額控除額+配当割額・株式等譲渡所得割額の控除額)
控除が沢山ありますが、大丈夫です。
最初に、確定申告書から、住民税の課税所得額を算出します。
所得税と住民税では、控除の項目と控除額が、ことなる部分があるので調整が必要です。
例えば、生命保険料控除の上限額・配偶者控除・基礎控除額がことなります。また、ふるさと納税などの寄付金控除はありません。
次は、いよいよ計算の実践です。
《例》これ以降はシミュレーションです。
・住民税の課税所得額 ¥3,000,000
・夫婦2人暮らし(夫62歳、妻57歳)妻は収入がない。
・株式等のキャピタルゲイン・インカムゲインは、全て源泉分離課税を選択している。
・住宅ローン控除なし
・ふるさと納税を、¥100,000行った。
1.住民税の課税所得を算出する(¥3,000,000)
2.課税所得から所得割を算出する
3.調整控除額を計算する
市民税・府民税の合計課税所得金額が200万円超なので、次式を使います
調整控除額=[人的控除額の差額の合計額-(合計課税所得金額-200万円)]×5%(市民税4%・府民税1%)
[ ]内の額が50,000円未満の場合は、50,000円として計算します。
市民税の調整控除額=(100,000-(3,000,000−2,000,000))×0.04
[ ]内の額が50,000円未満の場合なので → 50,000×0.04=2,000
府民税の調整控除額=(100,000-(3,000,000−2,000,000))×0.01
[ ]内の額が50,000円未満の場合なので → 50,000×0.01=500
両方の式が、50,000円未満なので、50,000円として計算しました。
人的控除額の差額の合計額の表は、最後に掲載
とりあえず、
配当控除額+住宅ローン控除額+寄附金税額控除額+配当割額・株式等譲渡所得割額の控除額のない方は、ここまでです。
次は、ふるさと納税を10万円した場合です。
計算はかなり面倒くさいです。
計算式は以下の通りです。
1 寄附金の基本控除額を計算する。
計算式は、
市民税の基本控除額 (A、B、Cの寄附金の合計額-2,000円)×8%
府民税の基本控除額 (A、B、Dの寄附金の合計額-2,000円)×2%
A,B,C,Dは、寄附の種類です。ふるさと納税は、Aになります。
2 特例控除額(ふるさと寄附金のみが対象)
市民税の特例控除額
[Aの寄附金の合計額-2,000円]×(課税総所得金額から人的控除の差額を控除した額に応じた割合(特例控除額)×4/5 [100,000−2,000]×0.7979×4/5=62,555
上限を超えているので、¥47,600になります。(計算式は下)
府民税の特例控除額
[Aの寄附金の合計額-2,000円]×(課税総所得金額から人的控除の差額を控除した額に応じた割合(特例控除額)×1/5 [100,000−2,000]×0.7979×1/5=15,639
上限を超えているので、¥11,900になります。(計算式は下)
上式の様に、特例控除額には、個人市・府民税の所得割額(調整控除額控除後の額)の20%という上限があるので、限度額の計算を次に行います。
それは、調整控除額控除後の額の20%です。
それぞれ、¥47,600と¥11,900です。
そうして求めた市民税・府民税の額は、
ところが、端数処理が残っています。(面倒くさいよね(^_^;))
税額の端数処理は、100円以下切り捨てを行うとあります。端数処理後の額は、下記のとおりです。
このケースの場合、ふるさと納税の還付金額は、住民税から69,300円、そして所得税から、10,000円として、79,300円になりました。通常は、100,000の寄附金だと、98,000が還付されることになりますが、18,700円足りなかったですね(;_;)。 チョット寄附金が多すぎました。
市町村のHPには、税金や、社会保険料の計算式が沢山載っています。自営業の方は習熟されていますが、会社員だった人には、ほとんど縁が無いと思います。
退職後は、是非自分で計算してみてください。世の中の仕組みが見えてきます。
ちなみに、今回の資料は、全て大阪市のHPから引用しています。