個人年金保険で老後の生活費を準備できるのは、今は昔の話です
「2000万円問題が広まるにつれ、将来受けとる年金額が老後の生活に十分かどうか不安を感じる人が増えてきています。
そのような方々から、老後の生活費に不安を感じるので今からお金を増やしたいが、どんな方法(金融商品など)が良いですか」と、問われることがあります。
30年程前なら、迷い無く個人年金保険を勧める所です。
今では考えられないような好条件でした。
当時は、予定利率5.5%が主流で、返戻率が250%近くになるお宝商品がたくさんありました。
こういう保険商品ならば、掛金を支払っている30数年間にインフレがあったとしても、納得できる資産ができています。
実際、この様な個人年金保険に加入し、満期を迎える年齢になった今、「あのとき加入しておいて本当に良かった」と安堵のため息をついている人は多いはずです。
加えて、日本は長年デフレが続いたので、資産価値はかなり高くなっています。
そんなお宝商品と現在の商品を同じ保険会社で比較してみました。
なんと、今の商品の返戻率は約106%でした。^^;
さすがに保険大好きな日本人といえども、この事実を知ってしまうと、とうてい納得出来る人はいないとでしょう。
1.現在の大手保険会社の返戻率
保険会社の多くは、確定年金として受け取れる商品の返戻率は102〜110%に収まっていました。
一部の商品は、118〜140%の返戻率でしたがそれは「外貨建て」でした。
外貨建ては、予定額は大きいですが、為替リスク(円安になると保険料が高騰する)や手数料がかさむので必ずしも額面通りの額にならない事もあります。
2.インフレ率
政府も2%のインフレ率を目指しているのでインフレの影響を考えてみます。
仮に、今後35年間のインフレ率が1%と仮定すると、
35年後の物価は今の1.42倍です。
0.5%としても、1.19倍。
0.1%でも、1.035倍になります。
どう考えても、現在の個人年金保険では老後の生活費を作ることは無理としか言い様がありません。
この様な現状を考えると、今の若い人達の間で投資が流行るのも納得がいきます。
3.保険会社に手数料を支払うより、自己の責任で資産を作る
毎月積立投資を35年続けたほうが、個人年金保険より稼ぐ事が出来るでしょう。
例えば、iDeCoで毎月1万円、35年間で2%の運用益を稼いだとする。
掛金の総額は420万円、運用益は187.5万円になります。このときの返戻率は、145%。
さらに掛金は全額所得控除(個人年金保険も控除対象)が受けられ、運用益は非課税、引き出し時には退職所得控除か公的年金控除の対象となるので、節税になります。
もうだれもインフレで元金割れリスクのある個人年金保険に入りたいとは思わないでしょう。
私たちは、自分の「老後の生活資金」を、自分の力で稼ぐ時代に生きています。