令和2年度の年金額がプレスリリースされました

令和2年1月24日に、厚生労働省から「令和2年度の年金額改定についてお知らせします」が、プレスリリースされました。 (https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000588114.pdf)

何故か、報道関係者宛であって、国民宛では無いのですが……(そんな事はこっちにほっといて)

1.令和2年度の年金額

年金額は昨年度から 0.2%のプラス改定です。金額は下表のとおりです。

国民年金は、月に133円アップ、年間1,596円です

厚生年金は、月に458円アップ、年間5,496円です

2.令和2年度の年金額の変動率

去年に続き、今年もマクロ経済スライドが発動されましたので、その分が減額されました。

そのため、令和元年に引き続き、年金額は2年連続のアップですが、アップ率は0.2%に下げられています。

3.令和2年度の年金支給開始日

年金額の改定は年度で区切っていますので、増額された年金を受け取る事が出来るのは、「4,5月分」が支給される「6月15日の支給日」からになりますので、くれぐれもお間違えなく。

4.令和2年度の国民年金保険料額

保険料が増額されます。

16,540円/月で、130円/月のアップです。

5.年金額の改定ルールとは

【年金額の改定ルール】

年金額の改定は、物価変動率、名目手取り賃金変動率がともにプラスで、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合には、年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに名目手取り賃金変動率を用いることが法律により定められています。

令和2年度の年金額の改定は、年金額改定に用いる物価変動率(0.5%)が名目手取り賃金変動率(0.3%)よりも高いため、新規裁定年金・既裁定年金ともに名目手取り賃金変動率(0.3%)を用います。

さらに令和2年度は、名目手取り賃金変動率(0.3%)にマクロ経済スライドによる令和2年度のスライド調整率(▲0.1%)が乗じられることになり、改定率は 0.2%となります。

【出典:厚生労働省のプレスリリース】

5.1 改定ルールの解説

年金額は、毎年、「物価変動率」と「名目手取り賃金変動率」で決めることになっていて、法律によって定められています。

そのルールとは、下表のとおりです。

新規裁定者

基準年度以後再評価率(既裁定者)

名目手取り賃金変動率を用いる

物価変動率を用いる

但し、以下の場合は原則と違う扱いをする

名目手取り賃金変動率<物価変動率<1  

 物価変動率を用いる

———————————————–

名目手取り賃金変動率<1<物価変動率   

1が基準

1<名目手取り賃金変動率<物価変動率 

名目手取り賃金変動率を用いる

———————————————–

名目手取り賃金変動率<1<物価変動率   

1が基準

調整期間における改定率

「名目手取り賃金変動率×調整率」を基準とする   

*当該年度の改定率が前年度の改定率を下回る時は、1が基準

調整期間における改定率

「物価変動率×調整率」を基準とする

*当該年度の改定率が前年度の改定率を下回る時は、1が基準

調整率とは、スライド調整率(マクロ経済スライド)のことです

今回の物価変動率は、0.5%、名目手取り賃金変動率は0.3%でしたので、

令和2年度は、「1<名目手取り賃金変動率<物価変動率」であるため、法律に定められたルールに従い、「受給中の年金額(既裁定年金)」は、「年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)」と同じ、「名目手取り賃金変動率」を改定率として用いることになります。

(つまり既裁定年金は、原則は物価変動率を使うのですが、名目手取り賃金変動率のほうが低い率なので、低い方に合わせられたわけです。つまり減額です)

そういう訳で、令和2年度の年金額は、「新規裁定年金・既裁定年金」の両方とも、「名目手取り賃金変動率の0.3%」を用いることになりました。

そして、令和2年度は、「マクロ経済スライド」を発動する条件が揃いました。
つまり、《調整期間における改定率は、「名目手取り賃金変動率×調整率」を基準とする》訳です。

5.2 マクロ経済スライド

マクロ経済スライドによるスライド調整率の計算式

スライド調整率= 公的年金被保険者数の変動率(+0.2%(2016~2018年度の平均値))×平均余命の伸び率(▲0.3%の定率) =0.2−0.3%=▲0.1%

20162018年度の公的年金被保険者の変動率ですが、保険料を納める人が0.2%増えたということです。

 

5.3 改定率の決定

ルールに則り、改定率=「名目手取り賃金変動率(0.3%)×「マクロ経済スライドによる令和2年度のスライド調整率(▲0.1%)」= 0.2%に決まりました。*

* 実際の計算は次のとおりです。

名目手取り賃金変動率(0.3%)は、1+0.003=1.003です (0.3%アップですから)

マクロ経済スライドによる令和2年度のスライド調整率(▲0.1%)は、1−0.001=0.999 (▲0.1%ですから)

1.003×0.9991.001997 約1.002となり、0.2%のアップとなります。

でも、計算式は、次の様にもできますね。
(1+0.003)×(1−0.001)=1+(0.003−0.001)−0.000003 ですね。
−0.000003は、誤差範囲なので、捨てましょう。そして、アップ率なので、数値の1は除外して、
0.003−0.001=0.002 つまり、0.2%がアップ率になります。
よって、アップ率は単純に名目手取り賃金変動率の0.3%から、スライド調整率の▲0.1%を引いてやればいいだけになります。

結局、年金額の増額は、物価上昇率に負けてしまい、貨幣価値は減ることになりました。

というか、受給中の年金額(既裁定年金)に関しては、物価上昇率より高い年金は支給されない仕組みになっているので、年金支給額は、価値が減少し続けることになります。

マクロ経済スライドの発動は、「年金制度の維持と、若い人たちの将来の年金支給額の縮小」を少しでも防ぐためには仕方が無いかも知れません。しかし、来年度は年金受給者にとって更に厳しい方向に改正が行われそうです。

 

その他、0.5%増額される手当がありますので、関係のある人は、

(https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000588114.pdf)を参照してください。