退職金の手取り額を計算する

まもなく定年退職の日を迎える、あるいは定年まで時間はあるけれど、退職金がどれぐらいもらえるか心配している皆様へ。

長年の会社への貢献に対するご褒美として、また老後の生活を支える資金として退職金が支給されます。

しかし、そんな大切な退職金ですが、支給額と税金がどうなっているのか、理解している会社員が殆どおられないのが現実です。

よくありがちなのは、

先輩から「うちの会社の退職金は大体これぐらいだよ〜」と聞いた気がするが、いざ自分がもらう番になると一体いくらなのかを分かっている人は少ないのです。

老後の生活に欠かせない退職金です。もっと関心を持って欲しいと思います。

 

ちなみに、私の場合、退職金はポイント制でした。

自分の持っている退職金ポイントは、社内のシステムからいつでも確認することが出来ました。

そして、年齢や職種によってポイントの付与数の違いがわかるので、退職する数年前からでもおおよその支給額(額面)を計算することが出来ました。

退職金の支給額、税金そして手取り額は、ほぼ自分で計算した通りの結果でした。

 

私は、会社の定年が65歳に変更になった時、65歳までは勤めたくないと感じていたので、特別支給の厚生年金が受給できる62歳前に早期退職を考えました。

退職金制度を理解していたので、65歳時の退職金の額と、62歳時の額とを比較することができ、年金についても、ねんきんネットで把握していました。そのため、退職後の資金計画から、早期退職しても何とかなるとの確信を得ることが出来ました。

今回は、みなさんが簡単に退職金の手取り額を把握し、退職後の生活設計に活用できるように計算の手順を紹介していきます。

 

1.会社の退職金規則を確認することから始めます

大体の企業は、パソコンから閲覧できたり、閲覧可能な冊子等のかたちで備え付けられています。

そこには、退職金の計算方法が掲載されていますので、大まかでいいので計算してみてください。

正確で無くとも、おおよその退職金の額が推計できるはずです。

では、手取り額の計算を始めましょう

2.具体例をもとに順を追って計算していきます

《モデルケース》 60歳 男性会社員 大学卒業後入社 転職歴無し

退職金支給額(額面) 23,877,292円 (リアルな額で計算してみます(^_^;))
勤続年数は、382ヶ月

2.1 退職金の課税額を算出する

退職金の課税額=(退職金額面退職控除額)×1/2

退職金の額面に、丸々税率をかけるわけではありません。

税金の対象となる金額は、額面から一定額を差し引いた額(退職控除額)を用います。

それは、長年の苦労の対価である退職金に高い税金をかけるわけには行かない事、また老後の生活費として役割から額面から一定額を差し引いて計算するのです。

この差し引く額を、退職控除といいます。

退職控除は、勤続年数が長いほど増えるようになっています。(下表)

長く働くほど報われると言う事ですね。
勤続20年を超えるとさらに増額されます \(^_^)/

勤続年数が20年以下

勤続年数が20年超

40万円×勤続年数

(80万円に満たない場合は、80万円)

800万円+ 70万円× (勤続年数-20年)

2.2 退職控除額を上の式から求めます

退職控除額=40万円×20年+70万円×(39年-20年)=2130万円

勤続年数が、1年に満たない端数(月数)の場合は1年に切り上げることになっています。よって、勤続年数の38年2ヶ月は、39年として計算します。

 

2.3 退職金課税額を求めます

退職金額面から退職控除額を差し引いて、更にその額の半分(更に税額を減らす措置ですね)が退職金の課税額になります。

退職金課税額=(退職金額面-退職控除額)×1/2=(23,877,292円−21,300,000円)×1/2=1,288,646円

退職金課税額は、1,000円未満を切り捨てる事になっています。よって1,288,000円

 

2.4 所得税(特別復興税込み)を求める

2.3で求めた退職金課税額の所得税率を下表の早見表から求めます。

195万円以下なので、税率は5%です。

所が、所得税は、特別復興税を加算した税率が課税されます。

所得税が5%なので、特別復興税は、5%×0.021=0.105%

よって、所得税率は、5%+0.105%=5.105%です。

1,288,000円×5.105%=65,752.4円

1円未満は切り捨てることになっています。よって、65,752円

 

2.5 道府県民税を求める

税率は、4%(*)です。

1,288,000円×4%=51,520円

100円未満は切り捨てることになっています。よって、51,500円

 

2.6 市町村民税を求める

税率は、6%(*)です。

1,288,000円×6%=77,280円

100円未満は切り捨てることになっています。よって、77,200円

住民税(道府県民税と市町村民税)の合計額は、51,500+77,200=128,700円です。

道府県民税と市町村民税の税率の合計が10%だから、分けずに計算すると128,800円ですね。

しかし、都道府県民税と市区町村民税を別々に計算することになっているので、結果100円税金が安くなりました。

 (端数処理って本当に面倒くさいけど、ちゃんとやらないと誤差がでちゃうんですね)

2.7 いよいよ手取額を求めます

退職金手取り額=退職金額面-所得税-都道府県民税-市区町村民税

23,877,292円−(65,752円+51,500円+77,200円) =23,682,840円

 

2.8 退職金の振り込み

退職日までに、税金を引かれた額が振り込まれます。\(^_^)/

 

3.所得税額早見表 (平成27年分以降)

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0

195万円を超え   330万円以下

10%

97,500

330万円を超え   695万円以下

20%

427,500

695万円を超え   900万円以下

23%

636,000

900万円を超え   1,800万円以下

33%

1,536,000

1,800万円を超え 4,000万円以下

40%

2,796,000

4,000万円超

45%

4,796,000

4.特別復興税

特別復興税は、所得税率に、0.021%を乗じた率と決まっています

特別復興税=所得税率×0.021

5.道府県民税=4% 市町村民税=6%

道府県民税は、4%  市町村民税は、6%

(*)政令指定都市は、8%、都道府県は2%になります。

ここからは、よくある質問です

6Q&A

Q1. 退職金はいつ支払われますか?

退職金の支給は、退職日までに皆さんが指定した銀行口座に振り込まれます。

入金される額は、所得税・住民税が差し引かれた手取りの額です。

 

Q2. 老後の生活に欠かせない退職金ですが、金額はいつ分かりますか?

退職金制度のある会社には、必ず就業規則に退職金制度の内容が記載されています。

なので、定年の数年前になると、大体の支給額を推測することが出来ます。また、退職が決まった時点で、支給前に支給額を教えてくれることもあります。

 

Q3. 退職金が支給されてから、老後の資金計画をたてるつもりですが大丈夫でしょうか?

少なくとも定年の数年前から、しっかりと考えておく必要があります。

何故かというと、退職時なって、もし老後資金が足りないと分かったとしても、すでに打つ手は限られてしまっているからです。

例えばiDeCoだと60歳までしか拠出できません。投資(NISA、投資信託など)は時間のある人ほど(若い人ほど)運用面で有利です。

60歳を超えると、効果的に資産を増やす手段がおのずと限られてくるのです。

老後の資金計画は、退職金と年金をベースにキャッシュフローを勘案して、退職する数年前から計画する事をお勧めいたします。